
提供:Sanva Refreshment Complext
東京都渋谷区、代々木八幡駅からほど近い場所に、五感を呼び覚ます新しい複合施設が誕生した。その名は「Sanva Refreshment Complex(サンバ・リフレッシュメント・コンプレックス)」。
この店を作り上げた店主は、パドラーズコーヒー(PADDLERS COFFEE)出身の吉山郁弥さん。単なる消費ではない五感を研ぎ澄ます体験とは何か。店主が掲げる「リフレッシュメント」という言葉の真意を探る。
街の人が集まるサードプレイス

提供:Sanva Refreshment Complext
Sanva Refreshment Complexとは、フレグラスブランド「Sanva」直営店と、カフェそしてギャラリーを要する2フロアからなる複合施設だ。営業時間は朝7時から夜10時。「日常を感じられるような、毎日立ち寄れる場所」を作りたいという店主・吉山さんの想いから、2026年4月にオープンした。
ここでは、スターバックスなどが提示した「家でも職場でもない場所」、つまり「サードプレイス」としての役割を担っているという。それは、吉山さんの前職「PADDLERS COFFEE(パドラーズコーヒー)」にも共通しているように、カフェとしてだけでなく、地域の人が集まる場所として開かれている。

さらに、吉山さんの過去の経験が、今のSanva Refreshment Complexを形作る大きなきっかけになったという。
「アメリカのオレゴン州ポートランドに『Ace Hotel』というホテルがあります。ここは、ホテルのロビーが街のコミュニティハブとして機能しているんです。一階には『Stumptown Coffee』というコーヒーショップが入っていて、ホテルを利用する人以外にもたくさんの人が訪れています。このように、Sanva Refreshment Complexも、コーヒーショップを入り口に『ここに行けば誰かしらがいる』という場所を目指しています」

フードやドリンクもフレグランスに合ったメニューになっている
サードプレイスとしての役割を持ちつつ、ここでは有機的で人間の五感に働きかける場所へとアップデートしている。その中で重要なキーワードとなるのが、吉山さんが提唱する「リフレッシュメント」だ。
「カフェ、フレグランスショップ、ギャラリーが一つの場所に集約することで、味覚、嗅覚、視覚を有機的に働かせることができます。ここを回遊することで、自分自身を再生できるというのが、この場所の役割になるのかなと」

カフェスペースには立って団欒できるスペースも
また、熊本のアイスクリームショップ「BLANCO ICE CREAM」、金沢のコーヒーショップ「TOWNSFOLK COFFEE」、吉山さんの地元・熊本の「Calmest Coffee Shop」など、さまざまな「場」から生まれたフードやドリンク等を提供している。
五感を刺激するこだわり抜いた空間づくり

4月オープンの季節に合わせて桜で染めたカーテンが飾られている
内装・アートディレクションはVacantの永井祐介さんが担当。ここでも「五感」大切にし、空間をゼロからつくり上げている。
「デザイナーさんの既存のものを取り入れることで、空間に馴染みやすさはあると思います。ですが、どうしても「〜っぽい」という風に、デザインのイメージが先行してしまう。やはり、五感を刺激することを大切にしているため、ここにあるものは全て0から作り出すことにこだわっています」
フレグランスショップ「Sanva」がある2階は、1階とは雰囲気を変えて、人肌を感じるような暖かな雰囲気が漂っている。店内の空気を決定づけているのが、乳白色の什器だ。素材はFRP(繊維強化プラスティック)。現在、日本でこれほど大規模にFRP扱える場所は少ないという。

「この什器は、設計を担当したBP.の前原康平さんと80歳の職人さんとともに作成しました。FRPの素材の性質が、什器の隙間から漏れ出す光を柔らかくしてくれています。本来であれば、ショップは明るい方がものは売れると言われています。ですが、ここは単にものを売るのではなく、それ以上の体験をしてもらいたいという想いがあるので、あえてこのような空間にしているのです」
記憶を香りに変換する唯一無二の体験

2階にあるフレグランスブランド「Sanva」の直営店は、「記憶」と「抽象」をテーマに展開。吉山さんは、視覚的な情報は「目で見たもの」で止まるのに対し、嗅覚はその場の空気感や思い出といった「風景」を呼び起こす力があるという。
実際に、Sanvaに立ち並ぶ2つの香りは、吉山さんのパーソナルな物語から生まれている。『North Marine Drive』という香りは、幼少期の父との記憶から作られたものだ。

ボディミストとフレグランスミストの2種類が展開されている
「父親が大事にしていたクラシックカーで、ドライブに連れて行ってもらった時の思い出が詰まっています。車のシートの独特の香り、手動で窓を開けていた時の感覚、父親との距離感が難しいと感じていた頃の記憶——当時は少し苦手だったはずの匂いが、今では豊かな記憶として残っています」

香りのカルテ
また、もう一つの香り『Sleeping Gypsy』は、1977年にリリースされたMichael Franksのジャズボーカルアルバムの名前。2020年、コロナ禍にラジオから流れてきた思い出の一曲で、調香師と半年以上かけて作った香りだ。
そして、この記憶を抽出して香りに変える体験は、セッションとしても提供している。調香師と対話する中で、その人だけの香りが生み出されるのだ。そして、セッションを受けた人たちの香りは、2階の「フレグランス・ライブラリー」にアーカイブされる。
地元・代々木八幡とのつながり

2階の窓際にはギャラリーが併設している。現在は不定期でアーティストの展示が開催。
Sanva Refreshment Complexが店を構えるのは、吉山さんが「東京で一番好きな街」と語る代々木八幡。実は、ここはかつて地元の小学生が上履きや教科書を買いに来ていた、街の文房具屋さんの跡地。建物の建て替えにあたり、街の不動産会社や建設会社といった、古くからの商店街の仲間たちが 働きかけたという。
「実は、代々木八幡は都内でも人気なエリアで、本来なら個人店が借りられるような条件ではないんです。ですが、地元の人たちが『長く商売が続けられるように応援したい』と言ってくださり、みなさんの協力のもと店をオープンすることができました」
Sanva Refreshment Complexは、朝から夜まで灯を灯し、街に安心感を与えている。吉山さんは「あえてメッセージを伝えていない」と話すように、この場所に訪れる人がそれぞれの感じ方を楽しんでもらう。そんな気軽な場所として、街を散歩しながら訪れてみるのも良いかもしれない。
Sanva Refreshment Complex(サンヴァ リフレッシュメント コンプレックス)
住所: 東京都渋谷区富ヶ谷1-6-8
HP: https://www.sanva.jp/