東京の中心にありながら、広大な緑と江戸城の面影を残す皇居。その一角に、美術館があることをご存じだろうか。
皇室に代々受け継がれてきた美術品を収蔵する「皇居三の丸尚蔵館」である。2019年からリニューアル工事が進められてきた皇居三の丸尚蔵館が、いよいよ2026年11月3日(火・祝)に全面開館する。

皇居三の丸尚蔵館 外観(南面)
国宝、重要文化財の指定外にあった皇室の所蔵品
皇居三の丸尚蔵館の収蔵品は、一般的な美術館とは成り立ちが違う。
始まりは1989年。上皇陛下と香淳皇后によって、皇室に代々受け継がれた絵画や書、工芸品、歴史資料などが国に寄贈された。その保存・研究・公開のため、1993年に皇居東御苑内に開館。その後も旧秩父宮家、旧高松宮家、三笠宮家などから寄贈を受け、現在では国宝10件、重要文化財13件を含む、約6,300件を収蔵している。
貴重な皇室のコレクションのはずなのに、国宝や重要文化財の数に疑問を抱かないだろうか。実は、皇室に伝来した美術品については、文化庁がその価値を評価することへの遠慮もあり、長らく指定の対象とはされてこなかったという。皇室ゆかりの美術品の指定が進められるようになったのは近年のことだそうだ。
しかし、あらゆる時代において最高峰の美術品が献上されてきたであろう皇室のコレクションは、外側からの評価を得るまでもなく、貴重なものに違いない。
展示スペースは約8倍。7年にわたるリニューアルが完了

皇居三の丸尚蔵館 外観(南東面)
皇居三の丸尚蔵館では2019年から施設の建て替えが進められてきた。
2023年には管理・運営を宮内庁から独立行政法人国立文化財機構へ移管し、新施設の一部をオープン。そして2026年11月3日、約7年にわたる整備を経て、いよいよ全面開館を迎える。
最大の変化は、その広さだ。
旧施設の展示面積はわずか160㎡。新施設では3つの展示室を合わせて1,280㎡となり、約8倍に拡大する。さらに、映像上映や講演会、ワークショップなどに利用できる講堂やミュージアムショップも新設される。
外壁や内部には、皇居の建築にも見られる緑青色の銅板屋根や、伝統的なひし形模様を採用。現代的な建築の中に、日本の伝統的な意匠が取り入れられている。
3つの記念特別展
◾️第1弾「皇室の至宝―美いづるところ」

そのタイトル通り、皇室と深い関わりを持つ美術品約190件が集結する。
なかでも注目したいのが正倉院宝物。奈良・正倉院に伝わる宝物が、今回初めて皇居内で公開される。
前期には、聖武天皇遺愛の品とされる「八角鏡 平螺鈿背」。中期には聖徳太子ゆかりの法隆寺献納宝物から、飛鳥時代の国宝「竜首水瓶」。後期には狩野永徳の国宝「唐獅子図屏風」が登場する。前期・中期・後期ですべての作品が入れ替わるため、3回訪れても異なる展示を見ることができる。

皇居三の丸尚蔵館グランドオープン記念特別展「皇室の至宝―美いづるところ」
令和8年(2026)11月3日(火・祝)~令和9年(2027)1月24日(日)
前期: 11月3日(火・祝)~23日(月・祝)
中期: 11月26日(木)~12月20日(日)
後期: 12月23日(水)~令和9年(2027)1月24日(日)
※前期・中期・後期で展示作品はすべて入れ替わります。
※日時指定予約
ウェブサイト:https://shozokan.nich.go.jp/feature/grand-opening/beauty/
◾️第2弾「国宝 動植綵絵 いろどりの世界」
2027年2月4日から始まるこちらの特別展では、伊藤若冲の代表作「動植綵絵」全30幅が一堂に並ぶ。全30幅の一斉展示は国内では約10年ぶり。しかも2021年に国宝となってからは初めてのこととなる。
皇居三の丸尚蔵館グランドオープン記念特別展 「国宝 動植綵絵 いろどりの世界」
令和9年(2027) 2月4日(木)~3月14日(日)
※会期中、一部の作品の展示替えを行います。
※日時指定予約
ウェブサイト:https://shozokan.nich.go.jp/feature/grand-opening/jakuchu/
◾️第3弾「日本の書の美1300年」
2027年3月25日からは、書にフォーカスした展覧会が開催される。王羲之の「喪乱帖」をはじめ、天皇直筆の書や写経、禅僧の墨跡など約100件から、1300年にわたる日本の書の歴史をたどる。
皇居三の丸尚蔵館グランドオープン記念特別展「日本の書の美1300年」
令和9年(2027)3月25日(木)~5月16日(日)
前期: 3月25日(木)~4月18日(日)
後期: 4月21日(水)~5月16日(日)
※会期中、作品の大幅な展示替えを行います。
※日時指定予約
ウェブサイト:https://shozokan.nich.go.jp/feature/grand-opening/calligraphy/
ぜひこの機会に、皇室コレクションの「計り知れない」価値を、その目で見てほしい。