
歌舞伎役者の尾上松也とコンテンポラリーダンスに精通した俳優の土屋太凰が共演。躍動する舞台とともに、尺八や琵琶、マリンバ、パーカッションなど音楽も楽しめる。
8世紀初めに編纂された日本最古の歴史書『日本書記』や『古事記』で、神々の活動の舞台として描かれている九州地方。その中央に位置する熊本県は、 “火の國”という異称で描かれ神話と深い関わりをもつ。2016年の熊本地震から10年という節目を迎えた本年、“共生と愛”をテーマに掲げた詩楽劇(しがくげき)『武(タケル)と建(タケル)〜火の國のまほろば〜』を企画。ところが、その矢先となる今夏7月には、熊本を再び地震が襲った。そんな中、復旧・復興のシンボルとされる熊本城に付随するホールで、10月3日(土)〜4日(日)に公演が決定。日本の神話に独自の解釈を加え、火の国と結びつけた壮大な物語を本公演のためだけに書き下ろした。芸能を通して目に見えない繋がりを届け、観る者の心に希望の光を灯す願いが随所に込められている。

9月の記者会見にて。日本古来の芸能の本質へと回帰する公演に豪華役者が集結。
前列左から:土屋太凰、尾上松也、尾上菊之丞
後列左から:舞羽美海、林 佑樹、島田泰我、松﨑光、小助川優(wink first/TRAINEE)
もし熊襲タケルがもし女人だったら? 斬新なストーリー展開
本作は、古代神話に登場する熊襲(くまそ)の大王が「もし女人だったら」という斬新な仮説が鍵となる。主人公は、倭の皇子である武(タケル)と、火の国の皇女で熊襲の一族・建(タケル)姫という二人のタケル。朝廷を治める父・景行天皇帝の命によって熊襲征伐に向かった武は、敵対する熊襲の建姫と出会い、やがて互いに心を寄せ合う。二人のタケルが結ばれることをトリガーに、日本の古代史における最大のヒーローとされているヤマトタケルが誕生するというプロットを創出。葛藤と戦い、死と復活を経て、共生と無償の愛をテーマに掲げた現代の神話を展開していく。



煌びやかな色と文様を伝統的な装束も舞台に非日常の華を添える。
1枚目:古代神話の英雄・武を演じる尾上松也
2枚目:現代舞踊にも秀でた土屋太凰が扮するのは建姫
3枚目:構成や演出に限らず、ヤマトタケルの父で景行天皇も演じる尾上菊之丞。尾上菊之丞
復興に励む熊本の地で開催することについて、尾上松也は「歌舞伎界でも『ヤマトタケル』は上演されてきましたが、私自身は出演したことがありません。かねてより一度は演じてみたいと憧れていた役柄です。火の国の新しい物語から、勇気や希望の光を感じていただきたいです」と語る。
もう一人の“タケル” 土屋太凰は、今回纏う装束について「衣裳は魔法だと、いつも思っています。煌びやかなだけでなく、身につけることで、タケル姫の宿命が伝わってくるようです」と見どころを語る。さらに、「熊本という土地のパワーと芸術が融合することで、力強いエネルギーが生まれると思います。是非、それを受け取りながら現代の神話”を楽しんでいただきたいです」と使命感と情熱を傾ける。

舞台の構成や振り付け、演出を手がけるのは、日本舞踊尾上流四代家元を継承する尾上菊之丞。
熊本地震から10年。“火の國”で届ける祈りと希望
今回は、「詩楽劇」という様式を用いて震災から10年を迎える熊本の地で、「鎮魂」と「祈り」の表現に挑む。「日本には、歌舞伎や日本舞踊、文楽をはじめ、さまざまな伝統芸能があります。近いようでいて、実は一緒に取り組む機会が少ないもの。そうした芸能が単なるコラボレーションからさらに一歩、二歩と踏み込んで新たな作品をつくっていくことが、この詩楽劇のコンセプトです。日本の美しい言葉=詩を大切にしながら、今の時代に生きる音楽も取り入れ、踊りや芝居と融合させる。その舞台様式を「詩楽劇」と呼んでいます。出演者の各々が、自身の専門分野以外の表現に挑む姿も、舞台に迫力を宿すと思っています」(尾上菊之丞)。と、トータルで舞台構成を手がける尾上菊之丞は語る。2日間限定のドラマティックな現代神話を堪能いただきたい。
詩楽劇『武と建〜火の國のまほろば〜』
日程:2026年10月3日(土)〜10月4日(日)
会場:熊本城ホール/メインホール
住所:熊本県熊本市中央区桜町3-40
公式サイト:https://takerutotakeru.com/
お問い合わせ
『武と建〜火の國のまほろば〜』製作委員会
takerutotakeru_hinokuni@murayama.co.jp