
日本人は古来、四季折々の自然の中で感性を磨き、「匠の技」を生み出してきた。そんな日本各地の風土や風習が息づく商品を、現代の作り手のスタイルとともに提案し続けている店が「THE COVER NIPPON」である。店名の“THE COVER”には、高価な工芸品でもカジュアルな雑貨でも “熨斗紙”で優しく包み込むようなショップを目指したいという思いが込められている。


2007年の六本木のミッドタウンの開業と同時に店を構え、日本の伝統が息づく衣食住の幅広いアイテムを扱う。
今回ご紹介するのは、人生の節目の祝い事=「晴れの日」を大切にしてきた日本人のスピリットをブランド名に冠した同店のオリジナルの「晴れ HARE」。人生の特別な日に着る「晴れ着」には、招福への願いを込め、王朝装束から生まれた吉祥文様や縁起を招く図柄が多く見られる。時代が移り変わり晴れ着も着る機会が減った今、「晴れの日」を愛でる気持ちを、現代のライフスタイルに取り入れるブランドとして2025年にスタートした。
新作のスカジャン「HAREJAN」は、着物の意匠を大胆かつ晴れやかに取り入れた一品。「スカジャン」の物語を辿ると、実は日本発祥のスーベニアジャケットとして生まれた。その歴史は、第二次世界大戦直後の横須賀へ遡る。米海軍基地を通じて多くのアメリカ兵が滞在していたこの街で、駐屯兵たちは帰国の記念に「日本らしいお土産」を求めた。その際、光沢のあるサテン地に、龍、鷲、虎、そして富士山や桜といった日本的なモチーフや、所属していた部隊や基地などのエンブレムをデザインした刺繍をテーラーショップにオーダーしたのが始まり。



1枚目:HAREJAN 132,000円 躍動的な獅子を描いた男児の祝い着。
2枚目:HAREJAN 165,000円 男児の七五三の祝い着には、勇ましい龍虎や鷲の図柄が描かれた。
3枚目:HAREJAN 165,000円 王朝文様を描いた振袖から仕立てた華やかなデザイン。
その後、形はアメリカ人に親しみやすいベースボールジャケットを模し、刺繍は桐生や足利の職人に依頼。アメリカ軍兵士たちのあいだでは、「スーベニアジャケット」として親しまれ、1960年代ごろから「スカジャン」と呼ばれるようになったという。現在もクールな和風ジャケットとして海外のファッショニスタたちか愛され続けている。そのスカジャンに着物の意匠を大胆かつ晴れやかに取り入れたのが、同店の「HAREJAN」だ。
「HAREJAN」に用いる着物には、男児の七五三の祝い着がある。普段着とは一線を画す着物のため、描かれる柄も格調の高い柄や縁起の良い柄が中心ですとなる。さらに、武将の勇壮活発な姿にあやかるよう、強く勇ましいモチーフの柄や、剛健や大成、子孫繁栄などの願いが込められた龍や虎、鷲などもよく描かれている。特にヴィンテージのモチーフには、現代のものにはあまり見られない、大胆な絵柄や構図に刺繍をふんだんに施したものなども多く、それら意匠が一際クールなスカジャンへと生まれ変わる。


1枚目:HAREJAN 110,000円 伝統的な染めの技法の中でも繊細かつ芸術性の高い技として知られる「絞り染め」の着物を用いたもの。
2枚目:背中の全面には、総刺繍を施した黒留袖を配して。
また、成人式という人生の晴れ舞台で纏う「振袖」も、「HAREJAN」に欠かせない着物である。豊富な色や吉祥文様が描かれ、初々しくも華やかな振袖と八掛を配置した晴れやかな一枚は、ユニセックスな魅力を放つ。加えて、着物の中で最も気高く“家”の格調を表すとされる「黒留袖」も、大切なマテリアル。絢爛豪華なものから繊細優美なものまで、お眼鏡に叶う一枚が見つかるはずだ。

HAREJAN 165,000円 黒留袖をはじめ、着物の中でもとりわけ吉祥の願いが込められた“晴れ着”をリメイク
さらに、「晴れ HARE」のブランドには、ジレやガウン、アロハシャツから小物やインテリアアイテムまで、バリエーション豊かなアイテムが揃う。ひとつひとつに個性があり、遊び心あふれる晴れ着を、思い思いのスタイルで楽しんでいただきたい。




1枚目:HARE アロハシャツ M 41,800円/LL 44,000円
2枚目:HARE 帯バッグ スリム 13,200円
3枚目:HARE 帯スツール M110,000円/L132,000円
4枚目:HARE ベンチ M110,000円(手前)/L121,000円
他にもアロハシャツや小物など幅広いアイテムが揃う。家具は「HARE」と「rewood」とコラボレーションしたアップサイクルの商品。
THE COVER NIPPON
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