出版社から頼まれる仕事というのは出版社がやすみの間はやってこないので、出版社がやすみに入れば〆切もない。だから年末年始を使って、2024年に向き合うことのできなかった原稿にがっぷりよつで向き合おうと決めていたので、誰と会う約束も入れず、じっとひとりで部屋にいたのだけれど、結果としては、のろのろとしかすすまなかった。
年末年始もやすむことなく原稿をやる、と決めたのは自分で決めたことであるにもかかわらず、やすみたい気持ちが「500」を超えたことだけが、今、わたしの胸のなかではっきりとわかっている。
やはり年末年始はやすんだほうがいい。
いいや年末年始にかかわらず「今日はやすみにしよう」だとか「お風呂のあとは仕事をしない」だとか、基本的にはそういうふうに緩急のあるほうが何かといいのだろうけれど、「ルーティーンなどかなぐり捨ててしまえ」という気持ちはいつもだしぬけにやってくるから、自分の生活にはルーティーンが生まれない。だからこころも安定しない。いつもぐらぐら揺れている。揺れるのもなかなかいいのだけれど、たんたんとやることも覚えてみたい。そうお月さまに祈りつつ、私は2025年をむかえました。どうもあけましておめでとう。
そんなぐらぐらとした年末年始を取り戻そうと「島本和彦 炎の原画展 」へ行ってきた。
島本和彦先生の漫画に出会ったのは昨年のことだった。はじめて読んだのは『逆境ナイン』だったのだけれど、おもしろすぎて火ふいた。
とくに、『燃えよペン』『吼えろペン』『アオイホノオ』に登場するホノオモユル(炎尾燃)の生き方には感銘をうけ、たいへんはげましてもらった。ここぞ! というときに人間は一体どうするべきか、を彼は教えてくれる。
会場は、豊島区立トキワ荘マンガミュージアム。
手塚治虫や藤子不二雄、赤塚不二夫など昭和を代表する漫画家たちが若手時代に暮らしたアパート「トキワ荘」の外観や内観を再現したところで、炊事場や四畳半の様子、階段のぎしぎしとなる音まで堪能できておもしろかった。もちろん原画展もじっくりみて、グッズもたんまり買った。
すこし充電された。そしてこの原稿をいま書いている。またもやってくる〆切の日々。そうはいっても、うれしくてありがたい〆切である。今年もなんとかがんばろう。