森の紫陽花を巡る「ニコライ バーグマン 箱根 ガーデンズ」

箱根の原生林で覆われた未開の森を切り開き、2022年4月に誕生した「ニコライ バーグマン 箱根 ガーデンズ」。都会的な感性を注ぎ込みながらも人間の手を加えすぎず、自然を尊重する姿勢を貫く──そのために、ニコライ・バーグマン自身が長年の構想を重ね、手塩に掛けて造り上げた。

敷地の見所は、随所に点在するガラス張りのパビリオンにある。四季折々の花々とともに、シーズナルな企画が展開され、約28,000㎡におよぶ広大な庭園を散策するだけで、まるで “森羅万象の宝石函”を巡っているような高揚感に満たされる。そうした華やかな一面もさることながら、園内の遊歩道を歩いていていると、ふとした瞬間に足元から伝わる心地よさを感じる。単に整地をするだけでなく、森の整備に繋がるように、遊歩道にはクマザサやススキを乾燥させてカットしたチップが散りばめられている。何気なく足を踏み込むたびに、柔らかい感触と自然の香りが立ち込め、森への優しい眼差しに包まれるのだ。

6月から9月の約4ヶ月は、ニコライ・バーグマンが最も好きな花という紫陽花で埋め尽くされる。その数、約3000鉢。凜とした白や爽やかなグリーン、艶めくピンクやパープルまで、豊かな色彩に染まる。

7月中旬に見頃を迎えるのは、園内を繋ぐ150m以上の沿道やメインストリートを縁取る地植えの紫陽花。季節が進み晩夏から秋へと移り変わると、紫陽花の花もアンティークカラーへと変化を遂げる。起伏に富んだ強羅の地形を活かし、紫陽花の抒情詩を謳いあげたような風景が繰り広げられる。

「ニコライ バーグマン 箱根 ガーデンズ」のもう一つの楽しみは、大人のピクニックが楽しめることだ。敷地内にあるカフェ「NOMU hakone」では、ピクニックバスケットを無料でレンタル。モクテルやサンドイッチをテイクアウトして、ガーデンを散策しながらお気に入りのベンチやパビリオンで、森林浴とともに味わいたい。

この夏の限定モクテルは、紫陽花をイメージした「ブルーハイドランジア」がおすすめ。自家製の大麦茶をベースに、箱根で採取したヨモギやブルーキュラソー、レモンをミックスした、デンマーク人シェフのクリエーションが冴えわたるブレンドが楽しめる。目にも涼やかな紫陽花尽くしを求めて、箱根を訪れてはいかがだろう。

写真提供:ニコライ バーグマン 箱根 ガーデンズ

Nicolai Bergmann Hakone Gardens
(ニコライ バーグマン 箱根 ガーデンズ)

住所:〒250-0408神奈川県足柄下郡箱根町強羅1323-119
Webサイト:https://hakonegardens.jp/
instagram:@nicolaibergmann_hakonegardens

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Takako Kabasawa

クリエイティブディレクター。女性誌や書籍の執筆・編集を中心に、企業のコンセプトワークやブランディングも行う。着物や茶の湯をはじめとする日本文化や、地方の手仕事カルチャーに精通。2023年に、ファッションと同じ感覚で着物のお洒落を楽しむブランド【KOTOWA】を、友人3人で立ち上げる。https://www.k-regalo.info/

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