竹林に包まれた全室に露天風呂のある湯宿「ふふ 熱海」

路地裏の橋を渡ると別世界が広がる

品川から新幹線でわずか40分。火山の贈り物とも呼ばれる天然温泉が豊富な海辺のリゾート地として有名な熱海。相模湾を望む起伏に富んだ独特の景勝に惹かれ、多くの文人墨客が別荘を構えたことでも知られる。歴史ある名旅館や文化人に愛された昭和レトロな喫茶店が点在し、都心から気軽に足を伸ばせる好立地でありながら、外国人観光客がそれほど多くない穴場のスポットといえる。

そんな熱海でご紹介したいのが、スモールラグジュアリーな湯宿を展開する「ふふ」ブランドの誕生の地として2007年にオープンした「ふふ 熱海」だ。昨年から約半年間の休業を経て全館をリニューアル、2024年7月に装いを新たに再び幕開けた。

日本らしさを象徴する障子をモダンにアップデートしたコンフォートスイート

奇しくもこの夏、アジア圏で先駆けて実施されたミシュランガイドのホテルセレクションにおいて、全国の「ふふ」ブランドのうち河口湖をはじめ、日光や軽井沢など計7箇所の施設が「ミシュランキー」を受賞。全室に客室風呂を備えスイートルーム仕様に設えることに加え、何度訪れても新鮮な高揚感を得られるように、全ての部屋の家具の配置やデザインが異なる点も、上質を熟知した富裕層がリピートする理由のひとつだ。
「ミシュランキー」が太鼓判を押す“おもてなし”の精神は、もちろん「ふふ 熱海」にも息づく。約9000㎡に及ぶ敷地は常緑の竹林に囲まれ、清らかな水音を奏でる小川が流れ、建物全体は四季折々の植栽を愛でる庭と繋がる。館内のどこに佇んでも豊かな自然に手が届くのだ。客室は6タイプ32室。熱海は梅の名所として有名なことから、レストランや客室に美しい梅の名前を冠していることも一興だ。

数ある「ふふ」ブランドの中でも熱海の自慢は、自家源泉のかけ流しということ。ナトリウム、カルシウム、硫黄塩、塩化物泉で構成される湯は、肌あたりの優しい美肌の湯として知られる。露天浴場にはドライサウナやスチームサウナも設えられ、瞑想とサウナ、入浴を繰り返し、自分のペースで心ゆくまで“整う”時間を満喫できる。さらに、フランスの高級スキンケアブランド「SISLEY(シスレー)」のスパも完備。熟練のスペシャリストによる、オールハンドのトリートメントが旅の疲れを癒す極上のご褒美となる。

露天風呂サイドの椅子でくつろぐと、竹林が涼やかな風を運ぶ

「SISLEY(シスレー)」のスパでは、カップルルームも備えており、パートナーと一緒に楽しめる

温泉で身体を解き放ったあとには、美食に舌鼓を打ちたい。日本料理「白乃一重(しろのひとえ)」では、相模湾の海の幸と近隣の伊豆地方の山の幸が懐石料理のコースとして振る舞われる。宿泊客同士ができる限り顔を合わせないように、プラベート感を大切にした個室設計も嬉しい限り。オプションとして鉄板焼き「緋乃司(ひのつかさ)」のディナーも予約可能である。さらには、プレミアムなスイートルーム6室が集う宿泊棟「木の間の月」では、滞在者限定で究極の魚介尽くしを堪能できる鮨割烹「海の悠波(ゆうは)」でのディナーも叶う。

庭を望む個室もある

すべてが極上と呼べる“おもてなし”の数々と温泉にくつろいだ翌朝は、ひと組ごと土鍋で炊いたご飯とともに地場の野菜や干物がテーブルを彩る。日常とも都心での旅の滞在とも異なる、長閑で贅沢な旅時間を「ふふ 熱海」で感じていただきたい。

ふんだんな魚介類が味わえるのも熱海ならでは。(1枚目:夕食/2枚目:朝食)

ふふ 熱海
https://www.fufuatami.jp/

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Takako Kabasawa

クリエイティブディレクター。女性誌や書籍の執筆・編集を中心に、企業のコンセプトワークやブランディングも行う。着物や茶の湯をはじめとする日本文化や、地方の手仕事カルチャーに精通。2023年に、ファッションと同じ感覚で着物のお洒落を楽しむブランド【KOTOWA】を、友人3人で立ち上げる。https://www.k-regalo.info/

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