すみだ北斎美術館にて、2023年12月14日(木)から2024年2月25日(日)まで特別展「北斎サムライ画伝」が開催中だ。
浮世絵師・葛飾北斎(1760-1849)や門人が描いた浮世絵作品から、江戸時代の人々が抱いていたサムライのイメージにふれるとともに、刀剣博物館所蔵の「太刀 銘 信房作」(重要文化財)など、刀剣そのものと北斎作品に描かれた刀剣を見比べて、イメージをふくらませながら北斎の表現力を楽しめる内容となっている。
展示作品数は前後期あわせて171点(浮世絵作品など168点、刀剣類3点)で、以下の3章で構成されている。
第1章:サムライの姿
一口にサムライと言っても、武家政権の歴史は長く、平安時代末期の平清盛の頃から江戸幕府が倒れるまでの約700年間続いた。 当然、時代の変化と共にサムライに求められる役割も移り変わっていった。第1章では、平和な江戸時代を生きた北斎や弟子たちと同時代のサムライの姿と、それ以前の戦乱の世の武力の担い手としてのサムライの姿を描いた作品を見比べることで、その違いを感じることができる。
ちなみに「今から700年前だといつ?」と思って計算したら、まだぜんぜん鎌倉時代だった。江戸時代が終わってからたった160年でこれだけ世の中が変わるんだから、サムライだって色々あったに違いない。
江戸市中のサムライ
葛飾北斎『絵本庭訓往来』 すみだ北斎美術館蔵(通期)
旅するサムライ
葛飾北斎「冨嶽三十六景 従千住花街眺望ノ不二」 すみだ北斎美術館蔵(通期)
第2章:戦いの場面
江戸時代の情報に基づいて北斎たちが描いた歴史上実際にあった戦いから、当時の小説である読本などの物語の挿絵として描かれた戦いの場面までを展示。また、サムライは魔を払うという考えもあったことから、怪異との戦いのシーンを描いた作品も取り上げる。
命を賭したサムライたちの躍動感あふれる戦いと、その大胆な色使いや構図などに圧倒されることだろう。
錦絵の武者絵シリーズ
一枚目 :「鎌倉の権五郎景政 鳥の海弥三郎保則」(前期)
二枚目 :「楠多門丸正重 八尾の別当常久」(前期)
三枚目 :「鬼児島弥太郎 西法院赤坊主」(後期)
いずれも葛飾北斎画、すみだ北斎美術館蔵 *前後期で一部展示替えを実施
江戸時代に起こった事件―忠臣蔵
葛飾北斎「仮名手本忠臣蔵 十一段目」 すみだ北斎美術館蔵(前期)
第3章:サムライの得物
サムライの象徴でもある刀や弓、他にも鑓(やり)や鉄炮などの武器、そして鎧を描いた作品を展示。刀に関する作品は、刀鍛冶の姿を描いたもの、北斎の門人が描いた刀の意匠のデザインや、刀や鑓そのものも紹介される。刀剣博物館の学芸員による解説文も必読だ。
描かれた刀や鑓と実物を見比べて、イメージをふくらませながら北斎の描写力を味わおう。
「太刀 銘 信房作」(重要文化財) 刀剣博物館蔵(通期)
また、濤瀾刃(とうらんば)という波の刃文が特徴的な「刀 銘 津田越前守助広」と、北斎の代表作「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」が並べて展示されるのも見どころのひとつ。ともに江戸時代に制作され、波の動きを表現した作品だ。
「刀 銘 津田越前守助広/延宝九年八月日」 刀剣博物館蔵(通期)
葛飾北斎「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」 すみだ北斎美術館蔵(通期)
浮世絵だけでなく、サムライ、刀などに関する洞察も得られる展示となっている。一度で3度おいしいとなれば行かない手はない。海外からのゲストを連れて行っても喜んでもらえそうだ。
特別展 北斎サムライ画伝
会期:2023年12月14日(木)〜 2024年2月25日(日)
(*前後期で一部展示替えを実施)
前期 2023年12月14日(木)~2024年1月21日(日)
後期 2024年1月23日(火) ~2024年2月25日(日)
休館日:毎週月曜日 ※開館:1月2日(火)、3日(水)、8日(月・祝)、2月12日(月・振休)
休館:12月29日(金)~1月1日(月・祝)、1月4日(木)、9日(火)、2月13日(火)
会場:すみだ北斎美術館 3階企画展示室、4階企画展示室
開館時間:9:30~17:30 (入館は17:00まで)
観覧料:一般1,200円、高校生・大学生900円、65歳以上900円、中学生400円、障がい者400円、小学生以下無料
Webサイト:https://hokusai-museum.jp/Samurai/