マドモアゼル・ユリア、新ブランド「KOTOWA」をローンチ 和洋どちらにも使えるデュオコートを発表

「ファッションと同じように着物のお洒落を愉しみたい」という想いから誕生したブランド「KOTOWA」。2023年12月から受注を開始し、海外のカスタマーからのオーダーも入っているという好調ぶりだ。

同ブランドを手がけるのは、DJやモデルとしても活躍し、自身のYoutubeチャンネルで着物のコーディネートなども紹介しているマドモアゼル・ユリア氏、 和装ブランドを主宰する久山美樹氏、 着物編集者でクリエイティブディレクターの樺澤貴子氏の3名。
ブランド名の「 KOTOWA 」は、洋の東西をとわず、「古都」に息づく古き良き美意識を「和える」ということと、「殊さら」に「和」を楽しむ、という意味を重ね合わせて名付けられた。

第一弾のアイテムは、和服にも洋服にも合わせられる’デュオコート’。着物をきた時だけでなく、普段から着られるデザインになっている。

duo coat ー GRAY

duo coat ー BLACK

クリエイティブ・ディレクターの樺澤氏によると、最もこだわったのは、衿のデザインだという。

「50年代のエスプリを踏襲したビッグラペルでありながら、着物の抜き衣紋にも寄り添い、洋服で着てもスタイリッシュに見えるように衿の大きさや角度をトワルの段階で微調整を繰り返しました。」

たしかに、一見するとPコートのようだが、着物の衿に沿う緩やかなラインと、コクーンシルエットが着物姿にもしっくりとフィットしている。

「以前、私自身、和洋兼用で着られるようにとファッションブランドのマントを購入したら、衿が着物に対応できず、結局洋服の時にしか着ることができなかったことがありました。そのエピソードをユリアさんと久山さんに話したところ、二人も同じような経験があった。それで、世の中にないなら作ろう!ということになりました。」

ブランド発足の経緯は、実際に着物とファッションを愛する3人のリアルな悩みからだった。

「既存の和洋兼用コートはコンサバな印象で心惹かれないので、モダンでありながらシンプルで不変的なスタイルを目指して、1950年代のクラシカルなクチュールのエスプリを参考にデザインを構築しました。トワル2回、サンプル3回と試作を繰り返し、現在のバランスに仕上がりました。」

そのこだわりの衿は、隠しボタンを留めれば衿を詰めたスタイルになり2wayで楽しめるデザインとなっている。デュオコートのDuoは、和・洋だけではなく、2wayという意味にもなっているのだそうだ。

そして袖口にも、着物好きならではの工夫が詰まっている。肩の縫い目から前面はスリムに見えるセットインスリーブ、背面は、可動域の広いスプリット・ラグランスリーブを採用。着物はもちろん、袖にふくらみのあるデザインの洋服や、厚手のニットの上にもごわつかずスッキリと着れる。着物の袂が袖口から出てこないようにストラップをつけるなど、痒いところに手が届く配慮がなされている。

伝統文化と言われるものほど、古い慣習や形式がすでに意義を失っていても、伝統を守ろうとするゆえにそのまま踏襲されてきている部分が往々にある。着物にも決まり事がたくさんあり「こうあらねば」という型のようなものに縛られてしまう場面も多い。その一方で、既存の殻を破ろうとするあまり奇抜すぎることをやっても、それでは別のものになってしまうだけだ。

「私たちは「古き良き」という根本は大切にしながらも、それをモダンに昇華させ、ファッションと同じように着物も楽しみたいと思っています。そこで、まずは ”世間一般に押し並べて似合うものや便利なもの” ではなく、とにかく”自分たちが本当に欲しいもの”を作ることをビジョンに掲げました。それが、結果としてファッションと着物をボーダレスに楽しみたいという女性にエイジレスに、タイムレスに響くと考えています。」

樺澤貴子氏(右)、マドモアゼル・ユリア氏(中央)、久山美樹氏(左)

今後も着物まわりのアイテムを中心に、「自分たちの欲しいもの」という感度を礎に、小物やインナーなどの展開を予定しているという。

着物用のコートは収納がかさばる割に、冬にしか使うチャンスはない。着物を着る頻度を考えると、なかなかハードルが高い。普段も着られるデュオコートは、これから着物を着たいと思う若い女性や、お洒落なマダムたちの悩みを解決してくれる一着になりそうだ。

KOTOWA (コトワ)
Webサイト : http://kotowa.jp/

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Orie Ishikawa

ZEROMILE編集担当。 歴史、文学、動物、お酒、カルチャー、ファッションとあれこれ興味を持ち、実用性のない知識を身につけることに人生の大半を費やしている。いつか知床にシャチを見に行きたい。

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