ピニャ・コラーダ誕生70周年。世界のトップバーテンダーのピニャ・コラーダをコンラッド東京で味わう

夏のカクテルとして不動の人気を誇るピニャ・コラーダ。ラムをベースに、パイナップルジュースとココナッツクリームを合わせ、クラッシュアイスを詰めたグラスで冷たく提供するこのカクテルは、誕生の地であるカリブ海のリゾートを想像させるトロピカルな味わいがその魅力だ。

誕生から70年の今年、ピニャ・コラーダ発祥の地である「カリブ・ヒルトン」では、全世界のヒルトンのグループホテルのバーテンダーを対象とした、「ヒルトン×バカルディ社 ピニャ・コラーダ・コンペティション」が開催された。288名の応募者から選ばれた上位入賞のピニャ・コラーダとは?
大会の様子とトップバーテンダーのアレンジピニャ・コラーダをご紹介しよう。

プエルトリコのヒルトンホテルで誕生したトロピカルカクテル

クラシックカクテルのランキング「The World’s Best-Selling Classic Cocktails」(Drinks International, 2022)でも、25位にランクインするなど、世界中のバーで愛されるピニャ・コラーダ。誕生したのは、1954年。カリブ海プエルトリコの「カリブ・ヒルトン」で、バーテンダーのラモン・“モンチート”・マレーロがお客様からのリクエストに応じて発明したのが起源とされる。その後、1970年代にアメリカのマイアミやニューヨークで流行したが、当時日本ではココナッツミルクが入手困難だったため、“幻のカクテル”といわれていた。

ラモン・“モンチート”・マレーロ

日本では1980年以降に広まり、多くのカクテルファンに知られるようになる。バーカウンターだけでなく、ビーチやプールサイドで気軽に楽しめるドリンクであることも、人気を後押しした理由。イギリス生まれのアメリカ人であるルパート・ホルムズの「エスケープ」もピニャ・コラーダソングとして一世を風靡した。

このクラシックカクテルをモダンかつクリエイティブにアレンジするコンペティションを勝ち抜き、決勝大会に集まったのは、ヒルトンのグループホテル精鋭バーテンダーの7名のファイナリストだ。

ヒルトンのグループホテルに所属する7名のファイナリスト

世界大会で競われた、個性溢れるピニャ・コラーダ

9カ月に及ぶコンテストでは、世界288名の応募者のレシピが書類選考され、残る70名がビデオ審査に進む。そこから選ばれた7名がプエルトリコで開催された決勝大会に進出した。ファイナリストの一人として日本から参加したのが、「コンラッド東京」バーマネージャーの田中大智氏だ。

「コンラッド東京」バーマネージャー 田中大智氏

「大会では各国のヒルトンのグループホテルのバーテンダーと出会うことができました。4日間の行程の中で、蒸留所見学やバーを訪問したり、街を見たりと交流を深められたことが、印象に残っています。同じヒルトンということもあって、ライバルというより仲間です。一人一人個性が豊か。ムードメーカーの人もいれば、クールだけどジョークが上手な人もいて。それぞれが勤務するバーの話を聞けたのもよかったですね。」(田中氏)

CASA BACARDIと呼ばれるプエルトリコのバカルディの蒸留所

現地では、世界最大のラムメーカー「バカルディ」の蒸留所を訪問。ピニャ・コラーダのオリジナルレシピで使用されるバカルディの製造工程や歴史をファイナリスト全員で学んだ。

「さとうきびが香る蒸留所で、樽も多くあり、大規模でありながらも、クラフトマンシップを感じました」(田中氏)また、プエルトリコの歴史を感じる街並みはタイムスリップをしたような感覚で楽しめたと語る。

優勝したマッテオ・ジャンヌッツィ氏

試合が行われたのは最終日。ラモン・“モンチート”・マレーロによるオリジナルレシピを再現するのが5分、その後、自身の提案するピニャ・コラーダのアレンジを5分でプレゼンテーションする。
練習を重ねた田中さんだが、想定外だったのは、想像以上のプエルトリコの暑さだった。

「会場はホテルのビーチサイドだったのですが、氷が溶けるスピードが速く、シェーカーがすぐ汗をかいてしまうんです。自分が理想とする温度に冷やしきれなかったことに後悔が残りましたが、誰よりも練習をしたという自信があったので、失敗する気はしなかったです。自信を持ってプレゼンできたのはよかったと思っています」(田中氏)

審査員は、「世界のベストバーテンダー50」に選ばれた「ダブル・チキン・プリーズ・ニューヨーク」の共同創始者のジー・エヌ・チャン氏をはじめ、ヒルトン・ホテルズ&リゾーツ グローバルブランド・ヘッドのレオナルド・グーズ氏、バカルディ・グローバル・ブランド・アンバサダーのディッキー・カルモア氏、カリブのトップバー「ラ・ファクトリア」のヘッドバーテンダー、ジジ・テンプラーノ氏という豪華なメンバー。
彼らの前で競った審査で、田中大智氏のオリジナル ピニャ・コラーダ「バモス(Vamos)」は、見事準優勝に選出された。

田中大智氏のピニャ・コラーダ「バモス(Vamos)」

日本人バーテンダーが準優勝。ピニャ・コラーダ「バモス(Vamos)」とは?

「ピニャ・コラーダは、その歴史の中でターニングポイントとなってきたカクテル。いろんな人の人生を変えてきたものだと思っています。自分のカクテルもそんなシーンに寄り添うものであってほしいという想いから、スペイン語で応援のときに掛け声として使う“バモス”という名前を付けました」(田中氏)

レシピは、ピニャ・コラーダをオマージュに和の要素を加えたもので、バカルディラムをベースににごり酒、ココナッツシロップ、フレッシュパイナップルジュース、レモンジュースを組み合わせ、仕上げにアブサンとパイナップルを絞った後の果肉を再利用したガーニッシュを施したもの。シンプルな力強さを持つ味わいや、食材をアップサイクルした点などが評価された。日本酒を使ったことで生まれる自然な甘みと旨味はパイナップルの酸味にうまく調和する。また、度数と甘みを抑えた軽い口当たりは、まさに現代のピニャ・コラーダという趣だ。

左から1位の「ピニャ・ナチューラ」、2位の「バモス」、3位の「スペキュラーダ」

この大会を受け、ヒルトンが運営する国内および海外の一部のホテルでは、上位入賞者のカクテルが提供される。「コンラッド東京」で提供されるのは、1位から3位入賞のピニャ・コラーダに加え、オリジナルレシピとノンアルコールのピニャ・コラーダの5種類だ。

コンテスト優勝は、透明で酸味の効いた「ピニャ・ナチューラ」(ロンドン・ヒルトン・オン・パークレーンのマッテオ・ジャンヌッツィ考案)、また3位の「スペキュラーダ」(ダブルツリー by ヒルトン・アムステルダム・セントラルステーションチーム)は、クッキーとピニャ・コラーダを合わせたノスタルジックな味わいで、それぞれに異なる魅力がある。
現代のバーテンダーも刺激するピニャ・コラーダの味わいを「コンラッド東京」で体験してみてはいかがだろうか。

写真提供:コンラッド東京

「ピニャ・コラーダ誕生70周年記念特別メニュー」
期間:2024年7月8日(月) ~ 8月31日(土)
時間:10:30-24:00 (L.O.23:30)
場所:コンラッド東京 バー&ラウンジ「トゥエンティエイト」
予約・問い合わせ:https://conrad-tokyo.hiltonjapan.co.jp/plans/restaurants/item/twentyeight-anniversary
電話予約:03-6388-8745(レストラン予約直通)

■メニュー
ピニャ・ナチューラ(コンテスト優勝) 2,800円
バモス(コンテスト準優勝) 2,800円
スペキュラーダ(コンテスト3位) 2,800円
オリジナル・ピニャ・コラーダ 2,800円
ゼロ・コラーダ(ノンアルコール) 2,300円

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mariko kojima

雑誌編集者、外資洋酒メーカーでの広報を経て、飲食・ライフスタイルの分野でライター、PRコンサルタントとして活動。日本テキーラ協会テキーラ・マエストロ、日本ラム協会ラムコンシェルジュ。

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