美しく力強いエネルギーを纏ったLena Fujimoto の世界
存在として形をなす作品、変容する一瞬の映すインスタレーション──アーティストたちは、どんな孤独な旅を経て“今”という表現に辿り着いたのだろうか。海外からの旅行で訪れた東京で、人と自然とモノの関係性を見つめる合同展覧会を訪れてはいかがだろう。『TRACING THE ROOTS』と題したこの会は、“旅と手しごと”をコンセプトに掲げ、プリミティブで普遍的なアーティストの心の景色を伝える展覧会&マーケットとして2015年に発足。年に1度、思い思いの躍動する表現を丁寧に汲み上げ、今年で10年目を迎えると同時に2024年10月8日(火)〜13日(日)の6日間で“旅の終着”を迎える。
1枚目:フィナーレを飾る手仕事の数々
2枚目:2023年の会場の賑わい
これまで総勢200組のアーティストの心象風景を映してきた『TRACING THE ROOTS』。世界各地の“色”をテーマにした年もあれば、自然との共生や再生に切り込んだことも、会場の内外に葦を設え循環する空間からもたらされる心の動きにフォーカスした年もある。今年は、多様性に満ちた32組の顔ぶれが代官山のヒルサイドフォーラムに集結。手仕事のマーケットと同時に開催される、Lena Fujimotoをはじめ、彫刻家の金沢健一氏、写真家の山内悠氏、金継師の黒田雪子氏ら4名の作家による展示やインスタレーションも必見である。
心の奥底で振動している何かを探す手がかりのような、Lena Fujimotoの作品群。
会期中の注目は、6日間に渡り代官山ヒルサイドフォーラム内のエキシビジョンルームで開催される「Lena Fujimoto Exhibition」。己との対話から素材に身をまかせ、絵、身の回りにある物や自然物を使った立体、クレイ作品など、形態にとらわれない表現方法で制作された作品を、多数展示・販売。自然の中に宿るエネルギーと内なる意識が呼応する、アーティストの瑞々しい世界と戯れたい。
さらに、会期中は感覚や思考視界を広げるワークショップも連日企画。一例をあげると10月9日(水)には、金沢健一氏による「振動という出来事」が開催される。私たちを取り巻く環境は、物体や空気の振動が形作る音に満たされている。その振動を視覚的な現象で表した“クラドニ図形”を体験することができる。10月12日(土)には、金継師の黒田雪子氏による「終わりの始まり~これから大人になる君と考える、器のお直し~」が開かれる。私たちの命をつなぐ食べ物とそれを盛る器の存在を考え、壊れた器を“わざわざ直す”ことの意味に心を寄せる好機となる。
今年限りの『TRACING THE ROOTS』。豊かな思考を携えて踏み出す未来の布石となる作品や体験と出会えることだろう。
1枚目:金沢健一氏とともに振動の美を探す
2枚目:黒田雪子氏と日々の道具を慈しむ
Lena Fujimotoによるキービジュアル
写真提供:マザーディクショナリー
TRACING THE ROOTS〜旅と手しごと 会期:2024年10月8日(火)〜13日(日) *前期・後期の二部構成 会場:ヒルサイドフォーラム 東京都渋谷区猿楽町18-8 ヒルサイドテラスF棟 入場無料/来場登録制 問い合わせ:info@motherdictionary.com 公式ホームページはこちら https://motherdictionary.com/roots2024/