江戸後期から活躍した北前船主・廻船問屋、馬場家の住宅。北前船とは、江戸時代中期~明治時代にかけ、大阪と北海道を行き来していた廻船のことで、寄港地で商品を買い付け、また別の寄港地で販売するといった方法で日本海経由の海運で活躍していた船だ。
馬場家は「岩瀬五大家」の筆頭にあげられ、北陸の「五大北前船主」のひとつにも数えられている。2016 年 8 月に国の登録有形文化財となり、2021 年から一般公開がはじまった。現在の建物は明治 6 年の大火後に再建されたもので、東岩瀬町の中でも最大規模の住宅となっている。随所に継ぎ手のない柾目の木材を使用していたり、屋久杉を使っていたりと贅を極めた作りだ。33 畳ものオイ(広間)は、川の流れを思わせる柄に畳が敷かれており、高い天井には豪壮な梁が組まれている。
最大の特徴でもある、長さ 30m・幅 2.7m に及ぶトオリニワ(通り庭)と呼ばれる土間通路は、大町通りの玄関から真っ直ぐ西門に続いている。西側は、昭和初期までは神通川に面しており、船からの荷下ろし・積荷がすぐに行えた。
西門を入ってすぐの所に、壱番蔵・弐番蔵、広大な米蔵が現存しており、現在その米蔵は、クラフトビールパブ KOBO brewery になっている。内装は現代的にリノベーションされているが、壁面を見れば、高く積まれた米俵の寄りかかる重みに耐えられるよう、柱の感覚が通常の土蔵よりも狭くなっているのがわかる。
見学の後、クラフトビールを飲みながら歴史に耳をすませば、賑わう商人たちの声が今にも聞こえてくるようだ。
旧馬場家住宅 〒931-8358 富山市東岩瀬町 107-2 TEL: 076-456-7815 OPEN: 9:00~17:00 (入館は 16:30 まで) 入館料:大人 100 円、高校生以下無料 休館:年末年始(12/28~1/4)、臨時休館あり 駐車場:無料駐車場あり、大型バス事前要予約 ウェブサイト: https://www.toyamashi-kankoukyoukai.jp/?tid=101998