ニュークラシックな長崎の時空を旅する「ホテルインディゴ長崎グラバーストリート」

かつての聖堂はレストランへと改装。

古より異国の文化が交差し、独創的な和華蘭(わからん)”文化を築いてきた長崎県に、IHGホテルズ&リゾーツが展開するブランドで、国内5軒目となる「ホテルインディゴ」が誕生。それが、2024年12月にオープンした「ホテルインディゴ長崎グラバーストリート」である。

ホテルが立つのは、重要文化財の「旧グラバー邸」や国宝「大浦天主堂」といった文化財が連なる国選定重要伝統的建造物群保存地区。そんな歴史的エリアへのオマージュも込め、館内には長崎の街並みや文化的な要素から想起したデザインが散りばめられている。ホテルの周囲や館内を巡るだけで、まるで時空を行き来するかのような、ドラマティックな感覚に包まれる。

長崎の古き良き歴史の陰影を映し出すような赤煉瓦造りの外観。バルコニーを配した客室からは港が眺められる。

遊び心溢れるデザインは、客室の中にも点在。家具には五島列島の名産である椿のモチーフをさりげなくデザイン、クローゼットのアクセントには出島の歴史館にある唐紙をアレンジ。また、ルームプレートにも一工夫を。マウンテンサイドの部屋には山のシルエットを、シーサイドの部屋には波をモチーフとした長崎刺繍をほどこしている。

館内の廊下は長崎市街の石畳や煉瓦をイメージ。エントランスやロビーラウンジのインテリアにも、歴史を語る街並みの要素が秘められて。

さらに、ベッドサイドのランプシェードは、日蘭貿易により日本で初めて長崎に伝わったとされる洋傘をデザインソースに。貴婦人が傘をさせている姿を映し、あえてシェードを傾けた設計にしていることも心にくい。街歩きで心に響いた片鱗を、ホテルの中で答え合わせをするように、微に入り細に入り古の物語が展開されている。

緑、紫、ピンクをテーマカラーとした洒脱なルームデザイン。

館内に設えた「レストラン カテドレクラ」も、このホテルを訪れる魅力のひとつ。リブ・ヴォールト天井を施した高さ10mに及ぶ旧聖堂は、昼間はステンドグラスの輝きを色鮮やかに浮かび上がらせ、夜は聖堂らしい静謐な気配に包まれる。

ディナーメニューは、長崎の伝統的な文化である和・華・蘭の要素を取り入れながらも、異文化が交差する一皿と出合える。シグネチャーディナーコース「Blanche」では、長崎の旬の魚介を軸に据え旬の地元食材にひねりを加えた、新感覚の料理を演出。夕食の〆にオニギリを食べるという長崎の文化に倣い、お洒落なオニギリもコースを彩る。

時間帯によって異なる表情を見せる「レストラン カテドレクラ」。

また、ランチは、地元のブランド鶏や豚のメイン料理の他、ホテルインディゴ長崎バーガーや、長崎和牛南蛮カレーなどをアラカルトで振る舞う。さらに、朝食では選べる和洋のメインプレートに加え、シェフの遊び心が光る一品をセミブッフェスタイルで楽しめる。長崎の新たな拠点として、季節ごとに異なる表情を体験してはいかがだろう。

和食をメインプレートに選んだ朝食。新鮮なサラダやヨーグルトなど、セミブッフェの一品とともに味わいたい。

写真提供:全てホテルインディゴ長崎グラバーストリート

ホテルインディゴ長崎グラバーストリート
住所:長崎県長崎市南山手町12-17
電話:095-895-9510
公式サイト:https://nagasaki.hotelindigo.com/

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Takako Kabasawa

クリエイティブディレクター。女性誌や書籍の執筆・編集を中心に、企業のコンセプトワークやブランディングも行う。着物や茶の湯をはじめとする日本文化や、地方の手仕事カルチャーに精通。2023年に、ファッションと同じ感覚で着物のお洒落を楽しむブランド【KOTOWA】を、友人3人で立ち上げる。https://www.k-regalo.info/

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