府中市美術館にて、「春の江戸絵画まつり 長沢蘆雪」展が2026年3月14日(土)から5月10日(日)まで開催される。

長沢蘆雪《菊花子犬図》個人蔵 前期・後期展示
蘆雪犬、東京へ
府中市美術館では2005年以降、毎年春に独自の切り口で江戸絵画を取り上げる展覧会「春の江戸絵画まつり」シリーズを継続してきた。そのシリーズの締めくくりとなる本展で、最後を託されたのが、江戸中期の奇才・長沢蘆雪(ながさわ ろせつ)である。蘆雪は円山応挙を師に仰ぎ、障壁画を中心に活躍した「奇想の画家」とも呼ばれる京都の画家だ。
蘆雪の描く子犬は、その愛くるしさから数年前にSNSで話題を呼び、今では若い世代にも広く知られるようになったが、時代によってその評価はさまざまだった。例えば、明治36年(1903)の藤岡作太郎の『近世絵画史』では、ときにアイディアと構成力は応挙を上回ると評価されながらも、「覇気」が溢れ出てしまい応挙のような落ち着きや深みがない、と評されていた。ところが、サイケデリックアートなどが流行していた1970年、辻惟雄氏の著書『奇想の系譜』で、その「覇気」が奇想として注目され、一躍、日本美術のスターの一人になった。
本展では、”蘆雪犬”だけでなく、風景や人物などの多彩な絵画を通じ、蘆雪の根っこにある禅の思想や、命あるものを慈しむ仏教の教えなども感じ取れる構成となっている。

《狗児図扇面》本間美術館 前期展示
蘆雪が描いた犬たち、通称「蘆雪犬」は、グッズ化もされるなど、いまなお人気を誇る存在だ。なんとも言えない愛くるしい表情は、多くの人の心をつかんで離さない。ミュージアムショップでは、蘆雪犬のぬいぐるみやポーチなども販売されるとのこと。


1枚目:長沢蘆雪《南天狗子図》(部分)個人蔵 前期展示
2枚目:《唐子遊図襖》(部分)個人蔵 前期・後期展示
デフォルメされた輪郭やつぶらな瞳。その魅力は、現代日本の“ゆるキャラ”やキャラクター文化にも通じるものがある。可愛いものを愛でる心は、江戸も令和も変わらないのだろう。
もちろん見どころは犬だけではない。串本無量寺の竜や虎など、迫力あふれる大画面作品も必見だ。

長沢蘆雪《虎図襖》(部分)無量寺・串本応挙芦雪館、重要文化財 後期展示
会期中は前期・後期で展示の大幅な入れ替えを実施。訪れる時期によって異なる作品と出会える、繰り返し足を運びたくなる構成となっている。
この春、あなたも蘆雪が描く生き物たちに会いに出かけてみてはいかがだろうか。


春の江戸絵画まつり 長沢蘆雪
会期:2026年3月14日(土)〜5月10日(日)
前期 2026年3月14日(土)〜4月12日(日)
後期 2026年4月14日(火)〜5月10日(日)
※作品の大幅な展示替えを行います。
会場:府中市美術館 (東京都府中市浅間町1丁目3番地)
展示室:府中市美術館 2階企画展示室
時間:午前10時~午後5時(展示室入場は午後4時30分まで)
休館日:月曜日(5月4日は開館)
観覧料:一般 800円(640円)、高校生・大学生 400円(320円)、小・中学生 200円(160円)
※( )内は20名以上の団体割引料金。
※未就学児は無料。
※府中市内の小・中学生は「府中っ子学びのパスポート」提示で無料。
※障害者手帳(ミライロID可)等をお持ちの方と付き添いの方1名は無料。
※本展観覧料でコレクション展もご覧いただけます。
※観覧券をお求めいただくと、2度目は半額になる割引券が付いています。(本展1回限り有効)
【府中市美術館 公式サイト| 「春の江戸絵画まつり 長沢蘆雪」特設ページ】
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/tenrankai/kikakuten/2026_Rosetsu.html