世界中のバーがネグローニで祝杯! 9月16日から「ネグローニウィーク」が世界同時開催

世界でもっとも飲まれているカクテルといえば?マティーニやジントニックが思い浮かぶかもしれないが、正解はネグローニ。
有力な業界誌「Drink International」が選ぶ「The World’s Best Selling Classic Cocktail2024」で3年連続第1位を獲得しているカクテル界の王者だ。

その人気を反映するように、開催される世界規模のイベントがある。イタリアのリキュールブランド「カンパリ」と米国バーカルチャー雑誌「Imbibe」がコラボする「ネグローニウィーク」は、今年で開催が12回目。収益の一部を寄付しており、昨年は80カ国以上の国から総計60万USドルの寄付を集め、チャリティイベントとしても注目されるものだ。
今年はすでに1万2千店舗まで規模が広がっているという「ネグローニウィーク」とネグローニの魅力を深掘りしたい。

ジェントルマンに愛されてきたネグローニ

ネグローニが生まれたのは、1919年のイタリア。フィレンツェの老舗リストランテ「カソーニ」。常連客だったカミーロ・ネグローニ伯爵が自分の頼んだ「アメリカ―ノ」にソーダでなく少量のジンをいれることをオーダーしたことが始まりとされる。カンパリとベルモット、ジンを同量加えたシンプルながら、バランスのとれたレシピ。このささやかながら重要な変更が、カクテル業界にとっての一大発明となった。

伯爵による生まれということもあり、紳士淑女に愛されてきたという逸話には事を欠かない。ジェイムズ・ボンドは映画「ユア・アイズ・オンリー」のなかでネグローニを飲み、「ローマの休日」の撮影中にこのカクテルを飲んだというオードリー・ヘップバーンは、自宅でのパーティで必ずネグローニを出したという。
一度見たら忘れられない印象的な赤いカクテルであることも人気を博した理由であろう。ネグローニはファッションアイコンとしても存在し続けてきた。

カンパリグループのブランドアンバサダーの小川尚人さん

そしていま、日本でもネグローニが広がりつつある。ネグローニウィークの日本での参加店舗は過去最高の312店舗。カンパリグループのブランドアンバサダーの小川尚人さんは、日本でのさらなる広がりを予想している。

「苦みを美味しいと思う文化は海外には強くありますが、日本でも飲み心地のよい苦みというのは受け入れられるようになってきたように思います。またネグローニはシンプルな材料だけに汎用性があるのが、長く愛されてきた理由のひとつです。ジンを別のお酒に変えたり、その土地の材料を使ったり、バーテンダーによって応用ができるので、好みのネグローニを見つけていくこともできると思います」(小川尚人さん)

汎用性があるからこそ、広がりを見せているネグローニ。そのベースはウイスキー、ラム、ワイン、焼酎でも。究極的にはカンパリにスピリッツを合わせた、ロックスタイルのものであれば、ネグローニと呼べるという。海外だと、材料をあえて混ぜすぎずに、その変化を楽しみながら飲むというスタイルもあるそう。自分なりのネグローニのオーダーができれば、バーでの楽しみがさらに広がりそうだ。

ザ・リッツ・カールトン東京では有名バーテンダーによるメニュー展開も

「ネグローニウィーク」に参加するバーのひとつが、「ザ・リッツ・カールトン東京」の45Fに位置する「ザ・バー」。高層階から東京を見渡せる眺望が楽しめ、併設されたラウンジにある水上ステージのピアノから、音楽が奏でられるラグジュアリーな空間だ。ホテルバーが参加することには、ネグローニならではの理由がある。

「ネグローニは食前酒としてのイメージがあるカクテルです。ホテルバーは早い時間から営業しているので、夕暮れの時間をネグローニで楽しんでいただいたり、お食事の前に立ち寄っていただくゲストの方も多いですね」(和田健太郎ヘッドバーテンダー)

カンパリグループの小川尚人さんと「The SG Club」の永峯侑弥さん

普段からネグローニもよくでるという「ザ‧バー」では、「ネグローニウィーク」に先駆けて、ゲストバーテンダ ー2名による特別なネグローニカクテルを披露するイベントが行われた。
世界のバーランキングでも常連のバーグループ「The SG Club」のビバレッジディレクターの永峯侑弥さんは「Purple Potato Negroni」と「Caprese Fizz」を考案。「Purple Potato Negroni」は、永峯さんの出身が鹿児島であることから、芋焼酎をベースにネグローニをツイスト。ヨーグルト香がある紫芋をベースに、カカオバターやビーツ、ベリーとカンパリを加えたものだ。根菜であるビーツの風味は芋の風味とあわさり、土をイメージさせ、また甘みや酸味の広がり方はニューワールド系の赤ワインを思わせるような味わい。ワイン好きな方にもおすすめしたい。

「Purple Potato Negroni」

また、カンパリグループのブランドアンバサダーの小川尚人さんが提案するのは、「Milano-Tokyo」と「Da Vinci Sling」の2種類。イタリアと日本の旨味を融合させたネグローニで、トップには桜の甘くほろ苦い香りが広がり、カンパリのほかに複数加えられた薬草酒やジンが日本ならではの五味を感じさせる。シェイクした後に、デキャンタにいれて香りを広げる作り方をすることから、口当たりが柔らかい。度数の高さを感じさせない繊細な口当たりの進化系ネグローニだ。

「 Milano-Tokyo」¥3,600

小川尚人さん考案による「Milano-Tokyo」はザ‧リッツ‧カールトン東京のシグネチャ ーネグローニとして、「ネグローニウィーク」期間中はもちろん、イベント開催後もオンメニューされる。都内屈指のラグジュアリー空間でのネグローニをこの機に味わいたい。

「ネグローニウィーク」は9月16日から22日まで

世界80カ国以上で開催される「ネグローニウィーク」は、日本国内では312店舗が参加。
ネグローニウィークが開催される9月をネグローニウィークキャンペーンとして、全国規模で実施し、バーシーンを盛り上げる。ネグローニウィークの収益金の一部は、イタリア発祥で、食を取り巻くさまざまな課題に取り組むスローフード協会に寄付される。

参加店舗はこちらより確認を。
https://camparijapan.com/negroni/

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mariko kojima

雑誌編集者、外資洋酒メーカーでの広報を経て、飲食・ライフスタイルの分野でライター、PRコンサルタントとして活動。日本テキーラ協会テキーラ・マエストロ、日本ラム協会ラムコンシェルジュ。

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