東京都庭園美術館で「建物公開2024 あかり、ともるとき」が開催中。期間は2024年9月14日(土)~ 11月10日(日)まで。
現在、東京都庭園美術館本館として知られる建物は、旧朝香宮邸として1933年(昭和8)に建てられたもの。当時パリで流行していたアール・デコ様式に魅せられた朝香宮夫妻がそのこだわりを詰め込んだ邸宅で、フランスの装飾美術家アンリ・ラパンが主要な部屋の室内装飾を手がけ、宮内省内匠寮の技師らが全体の設計を担い、最先端の技術と最高級の素材を用いて作り上げられたものだ。
館内の詳細については、以前ZEROMILEで取り上げた以下の記事を参照してほしい。
「マドモアゼル・ユリアの 【語るキモノ】 Vol.1 東京都庭園美術館」
この庭園美術館本館の建築の魅力を伝えるため毎年行われている建物公開展は、毎回異なるテーマを設けさまざまな切り口から紹介されてきた。今回は、邸宅を美しく彩る「照明」に焦点を当てた展示内容になっている。
この邸宅のために制作された照明の数々
こだわりの材質やディティールがあしらわれた照明器具の多くはこの邸宅のために制作されたもの。宮邸時代の家具や調度品も再現展示し、当時の雰囲気を味わえるような空間になっている。
東京都庭園美術館本館1階 大広間
以前訪れたときには、展示の関係上カーテンが締め切られていた箇所が多かったのだが、今回はカーテンが開け放たれ、庭からの自然光が降り注いでいた。こうしてみると、かつて朝香宮ご家族が暮らしていた様子が目に浮かぶようだ。
東京都庭園美術館本館1階 大食堂 シャンデリア ルネ・ラリック《パイナップルとざくろ》
1階には大客室や大広間、大食堂など来賓者をもてなすための部屋が多く、重厚で華やかな照明が空間を彩っている。いずれも非常に美しい状態で保たれており、現代的で洗練されたデザインのため、90年も前に作られたものだということを忘れてしまう。
東京都庭園美術館本館1階 大客室シャンデリア ルネ・ラリック《ブカレスト》
2階は、寝室や居間などプライベートの空間となっているため、それぞれの部屋の主の個性が垣間見えるような多種多様な照明を見ることができる。殿下と妃殿下のお部屋が繋がっていて、通り抜けできるようになっていたり、壁一面の本棚を有した書庫があったりと、ワクワクするような間取りも一緒に楽しんでほしい。
左上:東京都庭園美術館 本館2階 合の間照明
右上:東京都庭園美術館 本館2階 殿下寝室照明
左下:東京都庭園美術館 本館2階 妃殿下居間照明
右上:東京都庭園美術館 本館2階 姫宮居間照明
期間限定公開
今回の展覧会では、3階のウィンターガーデンが特別公開されている。2階のベランダ同様、白と黒の市松模様が印象的な空間だ。冬の間でも日当たりがいいため、植物を置いたりなどして屋内庭園として楽しむための部屋だったようだ。
東京都庭園美術館本館 ウィンターガーデン (写真提供:東京都庭園美術館)
さらに、新館のギャラリー1では美しい照明の数々を展示中。ここでは、旧朝香宮邸で使用されていたシャンデリアが修復され、公開されているので合わせて見ておきたい。
ZEROMILE的おすすめは、15~16時ごろに訪れ、庭を散歩した後に新館の展示を見て、それから本館をゆっくり見てまわり、夕日の差し込む館内と、日が落ちた後のあかりの美しさ両方を堪能するという作戦である。
訪れる際には参考にしてみてほしい。
建物公開2024 あかり、ともるとき
会場:東京都庭園美術館(本館+新館)
会期:2024年9月14日(土)~ 11月10日(日)
開館時間:10:00 - 18:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日:毎週月曜日
9月16日・23日、10月14日、11月4日は開館
9月17日・24日、10月15日、11月5日は休館
ウェブサイト:
https://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/240914-1110_lookingatarchitecture/