「フィリップ・パレーノ:この場所、あの空」展ポーラ美術館で開催中

現代のフランス美術を代表するフィリップ・パレーノの国内最大規模の個展が、ポーラ美術館にて2024年12月1日まで開催中。

展示風景:パーク・アヴェニュー・アーモリー、ニューヨーク、2015年
Exhibition view: Park Avenue Armory, New York, 2015
Courtesy of the artist and Esther Schipper, Berlin/Paris/Seoul
Photo © Andrea Rossetti

フィリップ・パレーノは、1964年アルジェリア生まれ。1980年代末以降、映像、音、彫刻、オブジェ、テキストやドローイングなど多岐にわたる作品を制作してきた。また、さまざまなアーティスト、建築家、音楽家との協働を行っており、映画『ジダン 神が愛した男』(ダグラス・ゴードンとの共同監督、2006年)や、日本のアニメ・キャラクターを使用した「アン・リー」の作品などでも知られている。

今回の展示では、代表作である映像作品《マリリン》(2012年)をはじめ、初期作品から初公開のインスタレーションまで、幅広い実践を多面的に展示する。

《マリリン》2012年 ポーラ美術館蔵 ※新収蔵作品
Photo by Ken Kato

壮大な「映画」の中に迷い込む

パレーノは自身の展覧会を、「カメラのない映画」と形容している。何者かの気配、声、光、暗闇、隠されたメッセージ…慎重に演出された舞台装置のような会場に足を踏み入れる観客は、まるで演者のように、新鮮な驚きとともに混乱をともなう体験の中へと身を投じることになる。

《ふきだし(ブロンズ)》2024年 ※新作 Courtesy of the artist Photo by Ken Kato

また、AI をはじめとする先進的な科学技術を作品に採り入れながら、ピアノやランプ、ブラインドやバルーンといった見慣れたオブジェを操り、ダイナミズムと沈黙、ユーモアと批評性が交錯する詩的な状況を生みだしている。

展示風景 Photo by Ken Kato

箱根の森を作品に取り込む

過去に世界各地で行われてきた展覧会で、その場所の特性や建築を活かした展示を構成してきたパレーノ。本展では、箱根の豊かな自然を背景に、太陽を追跡する大型のミラー作品などを展開する。

《ヘリオトロープ》2023/2024年 Courtesy of the artist and Esther Schipper, Berlin/Paris/Seoul Photo by Ken Kato

色とりどりの魚たちが漂う展示室の大窓は仙石原の深い森に臨んでおり、優雅にたゆたう魚たちとともに、会期を通して新緑から紅葉、冬景色へ表情を変えていく木々の色を楽しむことができる。

《私の部屋は金魚鉢》2024年 ※新作 Courtesy of the artist Photo by Ken Kato

会場であるポーラ美術館は森に囲まれており、美しい庭に溶け込むように配置された野外作品の展示も見ることができる。森林浴をするとストレス指数が下がることが証明されている。木道が整備されたポーラ美術館の森を散策し感性の扉を開いてから展示を楽しんでみるといいかもしれない。都内の美術館では味わえない展示を、ぜひ現地で味わってほしい。

「フィリップ・パレーノ:この場所、あの空」
会場:ポーラ美術館 展示室1、2、5、屋外
会期:2024年6月8日(土)~12月1日(日) 会期中無休
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
詳細:https://www.polamuseum.or.jp/news/topics/2024020101/
TEL:0460-84-2111
公式ウェブサイト:https://www.polamuseum.or.jp/

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ZEROMILE 編集部

知的好奇心旺盛なミレニアル世代に日本の情報を発信。 「好奇心が心理的距離をゼロにする」をテーマに、編集部がピックアップした情報を掲載。

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