日本をイメージする代表的な“色”を美しい写真と共に紹介する連載企画。
今回は桜色にスポットを当てて紹介していきたい。3月から5月にかけて日本全国で咲き誇る桜。ソメイヨシノがその代表格として挙げられるが、その他自然交配して生まれた品種や人の手を加えて品種改良を施した品種を含めると、その数はなんと600種類を超えると言われている。
今回は50年にわたり日本の自然を撮影し、80冊の写真集を出版している風景写真家の森田敏隆氏が厳選した、一度は見たい桜の名所を写真と共に紹介する。品種による色の違いはもちろん、時間帯や見るタイミングによって移り変わる、桜色の奥深さや色の違いを知る楽しさを共有したい。
品種ごとの名所とそれぞれの桜の色を紹介
“桜の花びらの色の変化を楽しむことができる 日本の桜の代名詞!”
■ソメイヨシノ
さくら名所百選にも選定されており、世界文化遺産に登録された姫路城と一緒にソメイヨシノをはじめとした約1,000本の桜を楽しむことができる名所。今年も和船が運航予定のため、城見橋と白が映える天守閣と共に、ソメイヨシノの淡いピンクの桜をお堀の中からも味わうことができる。おすすめは快晴時の満開ピーク時から。淡い桜のピンク・青空・天守閣の白・城見橋の赤のコントラストがキレイに映り、和船が日本らしさを演出してくれる、ここでしか見ることのできない景観である。
〒670-0012
兵庫県姫路市本町68番地
★例年の見頃 3月下旬~4月上旬
”ベニシダレも色味が強くおすすめだが、
こちらのシダレザクラも色味を楽しむにはもってこい”
■シダレザクラ
エドヒガンが枝垂れた桜で樹齢は300年といわれる。花びらは淡紅色で、城壁のような石壁に桃の花、その後ろに杉の木がそびえているため、はっきりとした色のコントラストを楽しむことができる。
〒633-2156
奈良県宇陀市大宇陀本郷348
★例年の見頃:4月上旬~4月中旬
”森田氏もおすすめ!
近年人気が上昇している濃いピンク色の花びらが特徴”
■オオヤマザクラ
国道459号沿いの山の峠に近い場所に、約3,000本のオオヤマザクラが植樹された桜の名所。オオヤマザクラは品種自体の色の変化はないものの、濃いピンクの花びらが、目に焼き付くほどの美しさをもっている。例年GW頃に見頃を迎え、年々観光客が増えている人気のスポットだ。山霞が晴れていく朝方には、この写真のような幻想的でありながらも、力強い桜のピンクが視界を埋め尽くす圧巻の景色を見ることができる。
〒966-0402
福島県耶麻郡北塩原村大字大塩字桜峠
★例年の見頃:4月下旬~5月上旬
風景写真家 森田 敏隆(もりた としたか)
1975年より風景写真家として独立。日本写真家協会会員。日本の国立公園と桜の撮影を行い続けて55年。これまでに数十冊の写真集を出版、洞爺湖サミットで配布されたオフィシャルブックも出版するなど環境省の仕事も幅広く行う。
なかでも桜関連の写真集はこれまでに6冊を出版しており、全国に一本桜のブームをつくった火付け役である。
桜の見頃は意外と長い!全国の桜開花予想2023
ここで紹介しただけでも、桜の見頃は地域や品種によって様々である。3月下旬から5月にかけてまで、長いスパンで桜を楽しむことができるのも日本の桜のよいところだ。
後編ではより桜の色を楽しむことができる、“見るタイミング”による桜色の移り変わりを、森田氏のコメントを含めて写真と共に紹介していきたい。